自分の英語の発音って英語っぽくないんだよなぁ、という方は多いと思います。
なんとなくネイティブの発音と違う。何が違うの?
ネイティブってもっと力を抜いて発音している感じだけど、何かコツみたいなものはあるのでしょうか?
数年前のオーストラリア語学留学で、あーこれか!と気づいたことがあります。それはシュワー(schwa)。
英語には日本語にはない発音がたくさんありますが、シュワーもその中のひとつ。
シュワーは英語で一番多く出てくる発音で、唯一名前のついている発音。しかも唯一、弱く発音しなければなりません。
これをマスターしておかないと、英語がロボット的な発音になってしまいます。
逆にこれをマスターしておくと、滑らかで柔らかい、とても自然で話慣れている英語になります。
特に難しいことはなく、知っているかどうかですので気楽に読んでみてください。
まずはシュワーの発音を聞いてみる
シュワーの発音を聞いてみましょう。
なんか、気持ち悪る。
シュワーの発音だけを単体で聞くとこんな感じ。
シュワーは極限まで力を抜いた、もっとも怠けた(laziest)発音と言われています。
完全に口や舌の力を抜いて、息を少しだけ出して声帯を軽く震わせることで、アとオの中間くらいの音を弱く出します。
日本人的にはとても正しい発音とは思えないような、単に声帯を少し震わせただけの音。
これが英語の発音を滑らかにしている、テキトウな感じの正体です。
シュワーは「弱く発音する」というのが重大なポイント。では、さらに解説します。
事前にシュワーについての知識を得てからネイティブの解説動画を見る
この記事の下の方に、シュワーについてふたつ動画を貼っています。
ネイティブによる英語でのシュワーの解説動画なのですが、ビデオを見る前に、まずは日本人目線の僕のシュワーについての解説を読んで下さい。
記事を読んで、シュワーについて理解してからビデオを見てもらうと、理解が早いと思います。
シュワー サウンド(schwa sound) はなぜ重要なのか
シュワーはあらゆるところにいる
僕は単語の中に潜んでいるシュワーを探すのが好きです。
英単語を発音していて、ん?これはシュワーか?と思ったら発音記号を見ます。思ったところに ə がいると、やっぱりね!とほくそ笑みます。
ə はシュワーの発音記号です。さっきの気持ち悪い発音ですね。
さて、どんなところにシュワーはいるのでしょうか。下に例を挙げてみます。ə がシュワーの発音になります。
これは極々一例で、他にも数え切れないくらいの単語の中にシュワーは潜んでいます。
リストの最初の a は不定冠詞の a 。This is a pen の a ですね。同じく不定冠詞の an も ən です。
これで事の重大さがわかったと思います。
これだけシュワーはよく出てくるのに、それを知らないとなると、ほとんどの英語の発音を間違えているということになるわけです。
一番よく出てくる発音で、唯一名前のついている発音だから、なめちゃいかんぜよ。
ちなみにシュワーは母音です。
ですので、不定冠詞のaのように単体でも成立します。
下に英英辞書を貼っておきますので、上の単語の発音を自分で確認したい場合は使って下さい。
シュワーを知ることが発音を劇的に向上させる
上のリストにある単語を、今までローマ字読みしていませんでしたか?
シュワーであるはずの発音をローマ字読みして ア とか イ とか エ と発音していたのなら、
Congratulations!!
おめでとうございます!!
これでシュワーをマスターすれば劇的に英語の発音が良くなります!!
あの気持ち悪いシュワーの発音を、あなたの英語にも採用してください。
発音がスムーズになって、グッと英語っぽくなります。
シュワーのコツは脱力して弱く、です。
Americanをシュワーで発音してみる
例えばAmericanという単語。どこにアクセントがありますか?
Americaneの二つ目の音節eに強いアクセントがあることを知っている人は多いと思います。
しかしそれと同じくらい大事なことは、最初のAと二番目のaがシュワーなので、弱く発音するということです。
əmericən
このふたつのシュワーを、聞こえるか聞こえないかのギリギリまで弱く発音します。
このふたつのシュワーを弱く発音しつつ、二番目のeを少し強めに発音することで、英語らしい抑揚のついた発音になります。
辞書でのAmericanの発音はここで聞けます。
最初のAを弱く発音するのは出来るけど、ふたつ目のaだけを弱く発音って出来るの?
厳密に考える人は、こんな風に思うかもしれません。
そこまで厳密に考えなくても大丈夫。
canのaだけを弱く発音して、それ以外のcとnを中間のボリュームで発音するというのは不可能です。ですので、can全体が弱く発音されます。
なぜcanのaがシュワーとして表記されているかというと、強いアクセントのあるmeを頂点に、riを経由して徐々にボリュームを下げていくことでcanのaが弱い音、すなわちシュワーになるからです。
発音記号上、cやnには強い、弱いがありませんので、シュワーに囲まれている部分もシュワーに伴って弱く発音されます。
弱いシュワーが英語に滑らかさをもたらす
このようにシュワーを脱力しつつ弱く発音することで、英語に抑揚と滑らかさをもたらします。
シュワーを意識して、滑らかに英語を発音しよう!
なんとなく自分の英語は力入れ過ぎで素人っぽい。もっとダラっとした、滑らかでテキトウな感じが欲しい、と思うなら、まずはシュワーですね。もっとシュワー成分を取り入れましょう。
上の音声サンプルのようにシュワーの発音は簡単です。下のビデオでも詳しく解説していますが、まだ良くわからなければ、下の4項目をもう一度順番に確認してみてください。
- 口、舌、喉の力を完全に抜く。
- 口を軽く開ける。
- 空気を少しだけ出して声帯を軽く震わせ、
- 結果、小さなオとアの中間の音が出る。
まとめてみます。
シュワーは英語で一番多く出てくる発音で、一番簡単な発音。シュワーはとても弱い。シュワーは母音なので、不定冠詞の a のように、それだけでも成立する。
ローマ字に引っ張られずにシュワーで発音する
日本にはローマ字というものがあって、英語と同じアルファベットを使っています。
そうすると、どうしても英語の発音がローマ字読みに引っ張られる傾向があります。
英語の発音とローマ字読みは違うことが多いので、気をつけなければなりません。
例えば enemy という単語。
enemyの二番目のeは、実はシュワーです。
ローマ字だとneをネと発音したくなりますが、ナに近い発音になります。
このようにローマ字読みと英語の発音が一致しないことは多々あります。
ローマ字読みは危険!
これは日本人だけでなく、実はイタリア人やスペイン人も同様で、彼らも英語を母国語風に発音しようとします。
同じようなアルファベットを使っているので、自然にそうなってしまうのでしょうね。
このようにシュワーがいる場所は必ずしもaではないというのが、日本人にとってはややこしいところ。
enemyのようにeの場合もあれば、bottomの二番目のo、familyのi、suggestのuやafterのerの場合もあります。
英語の発音は、日本のローマ字とはあまり関係がありません。発音記号をよく見て、”ə”がいないかを確認しましょう。
ネイティブのシュワーの解説を聞いてみる
これでだいぶシュワーについての予備知識がついたので、英語で解説を聞いても理解が早いでしょう。
今回たくさんのシュワーについての解説動画を見ました。その中から厳選してふたつのYoutube動画を下に貼っておきます。
字幕が必要な人はONにして下さい。
日本人目線で見た英語についての解説は意味があると思うのですが、実際の発音についてはネイティブの真似をしましょう。
ただ今回、いろいろなネイティブの動画を見て思ったのは、シュワー単体の発音は、例えネイティブといえども意外と人によって違ったりします。
もちろん単語の中に入っているシュワーはネイティブなので本物のシュワーなのですが、シュワーだけを取り出して発音させると、
それほんと?
と思う場合も多かったり。
そういうところに、日本人にはない独特のいい加減さが出ます(笑)。ネイティブのくせに説明が下手すぎてボツにした動画もいくつかありました。
いづれにせよ、実際の発音はネイティブの真似をしましょう。
アメリカ英語のシュワー解説ビデオ
少し事務的で複雑な解説の仕方をしているのが気になりますが、アメリカ英語の発音を目指しているのなら良いです。
イギリス英語のシュワー解説ビデオ
このエマさんの解説は、単純明快でとても良い。間違えた発音と比較しているのも良いです。
シュワー自体の発音はアメリカ英語と変わりませんが、単語全体の発音はイギリス英語です。
下に辞書を貼っておきますので、英単語の発音を確認したい時に使って下さい。
まとめ
無数にあるシュワーサウンドを意識して発音出来るようになることが、角の取れた、スムーズで自然な英語を話すコツです。
英語は強弱が大事。
強の部分だけでなく弱の部分にも注意を払ってください。
実はそれほど難しいことではなくて、シュワーを少し意識して、力を抜いて流れるように英語を話せば、自然とシュワーが入ってくると思います。
ローマ字読みに引っ張られないように注意しましょう。
では、頑張ってください。
アプリを使って、ひとりで英語のスピーキングを練習をする方法を書いています。興味があれば読んでみてください。
シュワーを含めた、6つの重要な発音について書いています。
【まずこれやっとけ】英語の発音のコツ6選【TH, R, sea, earth】
発音記号全般とおすすめアプリについての記事を書いていますので、参考にしてください。
英語の日常英会話だと of がシュワーになる事があります。この辺についても記事を書いているので、興味がある人は読んでみてください。
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