リスニングは難しいですよね。全く聞き取れずに絶望的になっている人も多いと思います。
リスニングを鍛えるには、ディクテーションが効きます。
ディクテーションとは、聞いた英語を文字にしていく作業です。聞いた英語をそのまま紙に書いたり、タイプしたりします。
書くということは、実際に英語を聞き取れていないとなりません。
英語を細かく聞く必要があり、なんとなくわかったつもりが許されません。話している英語と書き取った英語が違うなら、それは聞き取れていないということです。
もしリスニングが出来なくて困っているなら、半年くらい毎日のようにディクテーションを続けることで、徐々に英語が聞けるようになってきます。
この記事では、どんな題材を使ったら良いか、ディクテーションが出来るサイトとアプリを紹介します。
後半では、知っているととグッと英語が聞けるようになる英語の特徴、リスニングのコツを書いています。
ディクーテーションのための題材選び
ディクテーションに使う題材ですが、正直なんでも構いません。
英語の音声と答え(話されている英語のスクリプト)があれば、ディクテーション出来ます。
英語を繰り返し何度も聞いて書き出し、答え合わせするだけです。
ちなみに僕はNHKのワールドニュースを使って、ディクテーションをしていました。
当時、1〜2分の短いニュース映像と英語のスクリプトが毎日NHKのウェッブサイトにアップロードされていて、それを使っていたわけです。
毎朝ひたすら英語を聞いて、紙に書き出していました。
内容は正直面白くなかったのですが、素材を新たに探す必要がなく、黙々と機械のように出来たので便利でした。半年くらい続けたと思います。
英語は徐々に聞こえるようになってくるものなので、
おぉ!!英語が突然聞こえるようになったぞ!
というものではないですが、僕のリスニングの基礎はこの時に出来たと思っています。
今は YouTube があるので、好きな映画のワンシーンみたいなものを使っても良いです。なるべく楽しい題材の方が良いです。
大事なことは、毎日コンスタントに数をこなすこと。素材探しに時間がかかるのはよくありません。思い立ったら、すぐに出来ることが大事です。
今では色々と便利なものがあります。市販の英語教材でも色々とあるので、そういうものを使っても良いでしょう。
ただ、気をつけた方が良いのは、なるべく生の英語、すなわち普通にネイティブが話しているものを使った方が良いです。
僕の場合はニュースだったわけですが、今思えば、もっと日常会話的なものの方が、その後の苦労が少なかったと思います。
もう一つ、あまりにも学習者に簡単にわかるような、ゆっくりハッキリ話しているものはよくありません。
実社会でそんな風に話す人は皆無ですので、頑張ってディクテーション出来るようになっても結局は聞き取れないという、悲惨なことになってしまいます。
スクリプトの作り方
スクリプトが無い題材を、ディクテーションしたくなる時もあると思います。
そういう時は、僕は音声認識のタイプ機能を使うか、Otterというアプリを使います。
音声認識のタイプ機能
これが一番簡単な方法ですが、もう一台スマホやタブレット等の端末が必要です。
やることは簡単で、文字起こししたいポッドキャストなり、動画なりをスピーカーから再生します。
もう一台の端末でテキストが打てるアプリを立ち上げ、マイクをスピーカーに近づけ、キーボードの音声入力をスタートさせます。
音声がクリアであれば、けっこう英語を拾って文字にしてくれます。精度もまあまあです。
Otter
アプリをダウンロードし、ポッドキャストなどの音声ファイルをインポートすることで文字起こししてくれます。
動画であれば動画を再生し、Otterで録音する形で文字起こししてくれます。
歓声などのノイズがなければ、まあまあの精度で文字起こししてくれるので便利です。
僕はスクリプトや字幕がない場合は、たまにこうやってどうしても聞き取れない部分のヒントを得ています。
ポイントとしては、機械で文字起こしをしているので必ずしも正確ではないところ。その辺は気をつけてください。
使えるサイト紹介
それではさっそく、無料で使えるサイトを紹介します。
このサイトはよく出来ています。
音声を聞きながらすぐ下の空欄にタイプして答え合わせをすると、間違えた部分を指摘してくれます。
短文で出題されるのでテンポよく出来ますし、ボリューム(問題の量)もそこそこあります。
このサイトもよく出来ています。
短文をタイプしてディクテーションして行きます。
レベルも選べますし、声も男性か女性かを選べます。慣れないうちは女性を選んだ方が良いでしょう。音域が高いので、女性の方が聞きやすいです。
答え合わせをすると間違えている部分を指摘してくれるので、そこを重点的に聞くことが出来ます。正解すると、次に進みます。
短文なので簡単に出来て、ゲーム感覚で良いのですが、文脈から文章を推測する場合もあるので、一文だけの場合はそこが難しい。
逆にいうと、英語の発音だけで判断しないとならないので、デクテーションという意味では良いのかもしれません。
ニュースを一文ずつディクテーション出来ます。
ボックスに英文をタイプして答え合わせすると、間違えたところを指摘してくれます。
一文ずつですが、たくさん問題がありますのでしばらく遊べます。
初心者向け。
短文をタイプして、ディクテーションして行きます。
とてもシンプルなのが良い。200問あるので、1日10問づつこなして1ヶ月くらいは遊べそうです。
Level2からは、下の English CLUB へとリンクされています。
このサイトでは、レベルに合わせてディクテーションが出来ます。
それほど数がないので毎日やるとすぐにネタ切れになりそうですが、しばらくは使えます。
このサイトは凝っています。
レベルも選べますし、一つの素材に対して4種類のディクテーション方法が選べます。
ただYouTube動画を細切れにしているので録音状況があまり良くなかったり、継ぎ目部分が聞き取りにくかったりと、使いにくいところもあります。
アプリ紹介
無料で使えるアプリは、数が多くないようです。それでもいくつかあるので紹介します。
VOA Learning English Dictation (Android)
比較的ゆっくりした英語をスマホにタイプして、ディクテーション出来ます。
電車の中ではスマホでタイプ出来た方が良いですが、紙に書いた方が良い人は、紙に書きましょう。
VOA 英語リスニング、英語ディクテーション(+単語帳)
plan4sixteen無料posted withアプリーチ
English Dictation (Android)
このアプリはタイプ出来ません。紙に書いて、答え合わせする感じ。タイプするのが苦手な人には良いですね。
English Dictation
Thai-Hoa無料posted withアプリーチ
TEDICT (iOS, Android)
TED の映像を使ってディクテーションするアプリ。
短く区切ってスマホでタイプしていきます。
正しい文字しか打ち込めないようになっていて、わからないところは飛ばせます。全体の1/4くらいはお試しで無料ですが、それ以上は有料です。
上の3つ以外だと、有料になりますがスタディサプリの新日常英会話コースの中にディクテーションがあります。
スタサプのディクテーションはスマホでタイプしながら出来るので、移動中に気軽に出来るのが良いです。
以前書いた記事を貼っておきます。
ここから先は英語をリスニングをする上で知っておいた方が良い秘訣、ちょっとしたコツを書きます。
知っているのと知らないのとでは結構違うので、参考にしてください。
実際の英語の発音は、スペルとはだいぶ違う
実際にネイティブが話している英語の発音とスペルは、実はかなり違います。
これには二つの意味があります。
一つはローマ字です。
日本ではローマ字を使いますので、アルファベットで書かれていると無意識にローマ字読みしようとします。
英語もローマ字式でなんとなく発音出来てしまう場合もあるので、そこが罠になっているのですが、英語は実はローマ字読みとは全く違う発音が多いです。
もう一つは、例え辞書に出ている単語の発音を熟知していても、実際の英会話になるとネイティブはそれとはかけ離れた発音をします。
この後に少し書くリンキングも一つですし、日常会話的になればなるほど、どんどん英語の発音自体が崩れていくこともあります。発音のスラングですね。
ネイティブ同士で通じるのであれば、それは間違えた英語ではありませんので、我々はそれに慣れてないと彼らの言っていることは理解出来ません。
具体的にどんな感じかは、この動画が参考になります。この動画はアメリカ英語の場合です。
ネイティブに、
すみません、わからない話し方はしないでください。
とは言えないので、とにかく慣れるしかないです(笑)。
スペルはこうなのに、こんな風に発音するのはおかしいよ!
という理屈は成り立たないということです。
頑張って英語の音に慣れましょう。
知っておかねばならない英語発音の掟【リンキング、フラップT】
リンキング
英語と日本語では、話し方が大きく違います。
英語では単語の前後を繋げてスムーズに話していくことを好み、これをリンキング(linking)と言います。
リンキングさせると、話し方がスムーズになり、文章が短くなるので省エネかつ速く話せるようになります。
例えば shut up はシャットアップとは発音せずに、イギリス英語だとシャタップ、アメリカ英語だとシャダップと発音します。shut と up を連結させて、まるで一つの単語のように発音するわけです。
これがリンキングです。
リンキングについては以前記事を書きましたので、興味のある人は読んでみてください。
フラップT
アメリカ英語だけですが、アメリカ英語を特徴づけるとても変わった発音があります。
それはフラップ T サウンド(flap T sound)と言われる発音で、t を 小さな d と発音します。
例えば pretty や water の t は、小さな d サウンドに変化します。プリディー、ウアーダーのようにです。
これを知らない人がアメリカ英語をリスニングしたり、真似して発音してみようとすると、とんでもなく難しく感じます。
まさか t が d と発音されているとは思わないので、激しく混乱する訳です。
なにこれ、どうやって発音しているの?
ということですね。
このフラップ T サウンドは、アメリカ英語のあらゆるところにあります。
better や beautiful のような単語の中だけでなく、2語をリンキングさせることでフラップ T サウンドが生まれる場合もあります。
詳細は別記事で書きましたので、興味のある人は読んでみてください。
【water pretty】英語の変な発音のコツ【フラップT】
have, of, to が a または ta になる
ネイティブは、have, of, to を a(ə) または ta と発音することがあります。
具体的にどんな場合にそうなるのか。
日本人の常識からすると、
なにそれ?なんで勝手に a や ta になるの?
と疑わしく思うでしょうが、残念ながらそうなのです。
細かい単語は発音するのも面倒だから、 a または ta にしてしまえ!
という感じ。
口語における of の発音の変化については以前記事を書きましたので、興味あれば読んでみてください。
イギリス英語?アメリカ英語?
細かくリスニングをしていくと、世界にはたくさんの英語があることに気がつきます。
英語と言っても世界中で話されているので、方言がたくさんあると思ってください。
その中でも大きく分けると、イギリス英語とアメリカ英語に別れます。
イギリス、アメリカ英語は同じ英語ですので共通点はもちろん多いのですが、発音だけに限っても違う部分は結構あります。
ポッドカスト聞く?
え?ポッドキャストじゃないの?
さてはおぬし、アメリカ英語だろ。
ディクテーションを始めると、発音を細かく聞くようになるのでアメリカ英語とイギリス英語の違いにも意識が行くようになるでしょう。
リスニングはどちらの英語も出来た方が良いですが、このあとのスピーキングの段階になると、ある程度どちらかに決めた方が良いです。イギリス英語なのか、アメリカ英語なのかですね。
イギリス英語とアメリカ英語を混ぜると危険ということはないですが、東京弁と大阪弁を混ぜるような不自然さは覚悟しないとなりません。
英語の種類については以前記事を書きましたので、興味ある人は読んでみてください。
最後に
ディクテーションは覚悟を決めて、毎日15分づつ、半年くらいは継続してやってみましょう。そうすればかなり英語のリスニングに慣れてくると思います。
記事に書いたように、英語の発音は変幻自在に変化します。
その辺はある程度知識として知っておいた方がリスニングが楽になりますので、時間があるときに調べて身につけておきましょう。
英語のリスニングがなぜ難しく感じるのか、を大学の研究結果から考察した記事を書きました。
かなり面白い研究なので、興味があれば読んでみてください。
Photo by Andrea Piacquadio from Pexels