【情報量】英語は本当に速いのか【スピード】

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英語についてのあれこれ

以前から日本語より英語の方が時間当たりの情報量が多いのではないか、と僕は考えていました。英語には必ず主語を入れることや、複数形、単数形、それに時制の概念など、日本語にはない要素がいくつかあります。

そこでさっそく調べてみたところ、8つの言語のスピードや時間当たりの情報量を比較した面白い研究を見つけました。

結果、英語の発音の種類は日本語に比べて非常に多く、時間当たりの情報量は世界トップクラスという結論に至りました。

英語の話すスピードがあまりに速く、こんなのわかるわけないじゃん!と半ばリスニングを諦め気味な人も多いと思います。

確かに英語は速いですよね。間違いないです。

英語は速くて理解するのが難しいと思っている日本人の思いを科学的に裏付ける内容だと思います。この研究は、日本人が英語を習得するのにどのくらい努力を要するものなのか、または、苦手な部分はどこなのかを知る上で役立つと思います。

英語は本当に速いのか

皆さんは日本語と英語の違いをどのように感じていますか?

僕は以前から、日本語に比べると時間当たりの情報量は英語の方が多い、と思っていました。例えば3秒間話をした場合、英語の方が日本語に比べるとたくさんのことを伝えられるということです。

英語には必ず主語があって、複数なのか単数なのかを必ず情報として入れますし、日本語にはない複雑な時制もあります。名詞にも定冠詞、不定冠詞を付属させたり、単数、複数を必ず示すようになっているので、そこからどういう状況なのかを推測出来たりします。

英語は、文法的に多くの情報を入れるためのスペースが予め装備されている感じですね。皆さんの印象はどうですか?

そんな折、先日面白い記事を見つけました。

TOFUGU

このサイトは英語話者向けの日本についてのサイトなのですが、リンク先のページでは、なぜ日本語はとても速いのか、という認識の裏付けを研究データから示して、さらに考察しています。

まず最初に面白いと思ったのが、日本語を勉強している英語話者は、日本語はとても速くて聞き取るのが大変だと思っていることです。

我々英語を学んでいる側も、英語は速くて大変だと全く同じことを考えていますので面白いですね。リンク先は英語の記事なのですが、英語を勉強している日本人にとっても面白い話なので興味があれば読んでみて下さい。

さて僕の記事では、このTOFUGUさんの記事とデータから、さらに考察してみようと思います。

なぜ英語は速くて聞き取れないのか?

上のリンク先のTOFUGUの記事に、フランスのリオン大学の言語研究所の面白いデータが出ていました。話し言葉1秒間におけるスピード(音節数)と情報量を8つの言語で比較したもので、下の表がその研究結果です。

LANGUAGEINFORMATION DENSITYSYLLABIC RATEINFORMATION RATE
English0.916.191.08
French0.747.180.99
German0.795.970.90
Italian0.726.990.96
Japanese0.497.840.74
Mandarin0.945.180.94
Spanish0.637.820.98
Vietnamese1 (reference)5.221 (reference)

Information Density は情報の密度ということなのですが、数値の出し方はかなり複雑な計算をしているみたいで、ここに出ている数値はベトナム語を1とした場合の数値だと思います。

Syllabic rate は1秒間に発音される音節の数で、言語のスピードを1秒当たりの音節の数で測ろうとしています。

Nobu
Nobu

1秒につき、言語Aが10音節なのに対して言語Bが12音節なら、言語Bの方が速いと判断するということだなもし。

音節とは、英語だと Syllables と言って、以前オーストラリアでの英語の授業でたまに単語を syllable に分割するということをやっていたことを思い出します。

日本語ですとひらがな1文字が1音節でとても簡単ですが、英語は日本語と違って音節で分割するのがとても難しかったのを覚えています。

Nobu
Nobu

音節ならお・ん・せ・つで4音節だなもし。

でもなぜかネイティブは英語を簡単に単語を音節に分割しますし、我々がそれを出来ないと、どうして出来ないのかがよくわからないようです。これは今だに謎です。

John
John

はい、音節に分解してみよう。簡単だよ、はいやってみて。あれ?出来ない?そんなことないでしょ。

例えば“syllable”を音節で分割すると、syl / la / ble の三つです。なぜそうなるのかは、音節とは何かを知っていないと難しいですね。これが簡単に出来る日本人はなかなかいないと思います。

音節については、言語の特徴を知る上で意外と重要なので後述します。

Information rateInformation densitySyllabic rate を掛け合わせた数値です。スピードの遅い言語とスピードの速い言語は、結局は決まった時間内での伝達出来る情報量は同じなのではないか、という仮説のもとに比較検証するための数値のようです。

Information rate の計算方法はかなり複雑です。下記のリオン大学から出ている論文に出ていますので、興味のある人はみて下さい。

A CROSS-LANGUAGE PERSPECTIVE ON SPEECH INFORMATION RATE

日本語は速い?

さて、ここからが本題ですが、この研究で出た数値を英語と日本語で比較すると、スピード(音節数)に関しては日本語が7.84で、英語のみならず他の言語と比較しても日本語が一番速いということになっています。

これを見て、え?と思う日本人は多いと思いますが、日本語を勉強している英語話者からすると、やっぱりそうか!という結果だそうです。

天皇家の日本語を聞いてもわかりますが、日本語はゆっくり話すことを良しとする言語ですので、日本語が一番速いと言われると大分違和感がありますよね。

そこで僕が思ったのが、本当に音節数で比較するのが言語のスピードを測る上で理想的な方法なのか?ということです。

では、音節数ではなく単語数で測ったらどうなのか?と思い、調べてみたのですが、単語数で言語のスピードを測ることはあまり意味がないということでした。というのは、ドイツ語みたいに単語の切れ目が曖昧な言語があるからのようです。

情報量

一旦言語のスピードは置いておいて、各言語の時間当たりの情報量(information dencity)を見てみましょう。

この情報量は、例えば3秒間話した時にどれくらいの情報を相手に伝えられるのか、ということです。

この情報量を見てみると、なんと日本語が0.49と一番少ないという結果です。

少ないだろうな、とは思っていましたが、中国語、ベトナム語、英語の約半分で、しかも日本語は8カ国中一番情報量が少ないというのもちょっと残念ですね。

トータルすると?

スピードと情報量を掛け合わせたインフォメーションレートで比較すると、日本語は一番少ないという結果です。しかも他の言語にかなり離されています。逆に英語は8言語中一番多いという結果です。

ということは、僕が長年抱いていた「英語は情報量が多い」という感覚は正解ということですね。それどころか、ドイツ語やフランス語と比較しても多いというのは凄いです。

英語と日本語を比較するということは、8カ国中1位とビリを比較している訳で、しかもかなり差がある訳ですから、英語と日本語、両方の言語がある程度出来るのであれば、誰でもそう感じるのではないかと思います。

もう一度スピードについて考えてみる

音節とは

話を進めるに当たって、この研究でスピードを測る単位として使っている音節とはなんぞや、について軽く書いておきます。

音節とは簡単にいうと、母音が必ず一つ含まれている単語内の音の塊なのですが、この音節の作り方は言語の成り立ちにかなり影響を及ぼすので、意外と重要です。

音節の作り方

日本語の場合

日本語の音節の作り方は比較的単純で、平仮名1文字が1音節と思っていれば正解です。

例えば「せいかい(正解)」であれば、せ(se)・い(i)・か(ka)・い(i)、の4音節になります。

もう少し細かく解説すると、日本語における音節とは、母音(アイウエオの5つ)だけか、または子音ひとつ+母音ひとつになります。子音が複数加わったり、母音+子音という組み合わせはないです。

日本語の音節=母音ひとつ、または子音ひとつ+母音ひとつ

英語の場合

それに比べて英語では、子音+母音に加えて母音+子音という組み合わせもOKですし、さらには母音の前後に、合わせて7つまで子音を付加出来ますので組み合わせが膨大です。しかも母音の数が、日本語の5つに対して英語は26もあります。

英語の音節=母音ひとつ、またはひとつの母音の前後に7つまでの子音

例えば pronunciation であれば pro/nun/ci/a/tion と分けて、全部で5音節になります。

音節の種類は英語の方が圧倒的に多い

英語の方が音節の種類が多そうだけど、では実際にそれぞれどれだけの種類があるのだろう?と思いますよね。

諸説あるようですが、TOFUGUによると日本語の音節は416種類(普段使わない音節も多数含まれている)であるのに対して、英語はなんと7931種類もあります。この数字の開きは上記の音節の作り方を考えると、容易に理解出来る数字です。

日本語は416種類の音節の組み合わせで単語を作るのに比べ、英語は7931種類の音節の組み合わせで単語を作ることが出来る。

音節の種類の数が言葉に与える影響

音節の数がこれだけ違うと単語の作りがガラッと変わります。

日本語は音節の種類が少ないので、同音異議の言葉がたくさん生まれます。全く同じ発音だけど意味が違うという単語ですね。音節の種類が少ないので、自然とそうなってしまいます。

例えば「かんじ」とPCでタイプすると候補が山のように出て来るので、日本人は漢字の違いで区別します。感じ、漢字、幹事、監事、官事、寛治と人の名前まで入れればたくさん同音異義語が見つかります。これらは発音だけで区別することが出来ません。

以前、歯医者に行ったときのこと。”ばっし”をお願いします、と受付で言ったら、「今日はばっしは出来ません」と言われて僕は???となったのですが、僕のばっしは「抜糸」で、受付のばっしは「抜歯」だったということがありました。

さらに日本語では数の限られた音節で単語を作るために、1単語当たりに使われている音節が多い傾向にあります。簡単に言うと、単語が長いということですね。

使える音節が少なく、組み合わせが限られてくるので単語数を増やすには単純に単語を長くしていくわけです。

日本語の多くの動詞は2音節または3音節以上ありますが(見る、食べる、遊ぶ、学ぶ、働く)、英語は1音節または2音節の動詞(see, eat, play, study, work)が多いです。

こういう状況を知った上で言語のスピードを考えてみましょう。

”1秒当たりの音節数が日本語はたくさんあるからスピードが速いのだ”となっても、単に音節数が多いというだけで、研究の結果の通り、実はその情報量は少ないのだという理由はわかります。

さらに深く言語のスピードについて考えてみる

音節と情報量から考えるスピード感

ここからは、僕の考えです。

Nobu
Nobu

どうして日本人にとって英語のリスニングは難しい?

日本語は音節の種類が少ないので同じ音節が繰り返し何度も出てくるのに対して、英語ではバリエーション豊かに次から次へと異なる音節が出て来ます。

これって聞き取るのは大変ですよね。常に音の微妙な違いに注意を向けていないとなりません。

例えば thinksink の違いは微妙で日本人には難しく、全神経を集中させて聞き取る必要があります。しかし英語ネイティブにとっては違いがはっきりしていて、thisi は全く違う音です。

Nobu
Nobu

I sink you are beautiful. Sank you.

Betty
Betty

Haha, that’s so sweet (and so weird).

このように日本語と英語で音節の数が大きく違うというのは、thisiの違いのようなことがたくさんあるということです。これを正確に聞き取るのは日本人には大変な労力です。

さらに英語では子音が大活躍します。子音がいくつも連なったり、子音で終わる発音というのは日本語にはないもので、我々には全く馴染みがありません。

さらにこの研究結果では、英語は日本語よりも時間当たりの情報量がだいぶ多いです。ということは、短時間のうちにたくさんの情報を理解する必要があるということになります。

言葉は情報密度が高いとスピードを速く感じます。極端な例で比較してみましょう。

例えば10秒間のスピーチの内容が”僕は結婚をしました”ということだけなら、理解するのも難しくありません。話も比較的ゆっくりに感じるでしょう。

しかし同じ10秒間のスピーチで”結婚して子供が出来て、離婚して、子供と週一回会うことになって、子供がグレて犯罪を起こして、元奥さんが自殺して、刑務所から出所した子供が結婚して孫が生まれて、色々あったが孫と遊んでいると幸せだ”という話なら、あまりにも内容が濃すぎてついていくのが大変です。

短時間のうちにたくさんの情報が詰まっているので、とても話が速いと感じても不思議ではありません。

英語をリスニングするときは、短時間のうちに膨大な量の馴染みのない発音を聞き分け、日本語よりもたくさんの情報を頭の中で処理しなければならない。

具体的にどうして英語は日本語に比べて時間当たりの情報量が多いのか。それぞれの特徴がよく出るような例文を考えてみました。

We’d been thinking about what he did with her cars.

あいつ(男性)がその(彼女の)(複数)で何をしたのか、(我々は)ずっと考えていた(過去の話で今は考えていない)んだよね。

日本語の例文のカッコ内は省略される、または不明なことが多く、文脈から判断するか、質問しないとわからないことが多いと思いますが、英語ではその辺の情報はきっちりと入っています。

日本語は主語を省略することが多く、特に日常会話では彼、彼女という代名詞はあまり使わない印象ですが、英語にはたいてい主語があります。

英語の名詞には単数、複数の情報を必ず付加しますし、定冠詞、不定冠詞の a や the の存在や、時制が最初から文法的に組み込まれています。

このようにパッと考えても、同じ一文でも日本語よりも英語の方が情報量が多そうです。

TOFUGUでも書いてますが、音節の種類の多さとその情報量から、英語はとても複雑な言語と言えそうです。それに比べると日本語は全く急いでいない、とても平和な言語ですね(笑)。

英語では実際に速く話そうとしている

英語には、簡単に話すスピードを上げられる工夫があります。それはリンキングだったり、oftoa と発音する方法です。

ということは、速く話すことは良いことなのだという認識があって、実際に出来るだけ速く話しているということです。

リンキング等の発音に関してはリアルな英会話では必須ですが、学校で習うことは少ないので、日本人が全く英語をリスニング出来ない原因にもなっています。詳細は別記事で読んでみてください。

【ナゼなに】英語のリンキング【自然な発音】

【英語の謎】英会話での of の発音 【七不思議】

カジュアルな英会話では to は a と発音する

結論

英語は速く、そして難しい(笑)。

最後に

この記事は、”英語は難しいから大変だよ”と脅しているわけではありません。

例えばボールをバットで打つのが難しいとします。子供の頃は簡単に打てたのにプロ野球に入ったら打てなくなってしまった。なぜなのか、、、、

ここで終わってしまっては、このまま野球をやめてしまうかもしれませんが、なぜ打てないのかを研究することで活路が見出せる可能性は十分にあります。それが大人の考え方ですね。

英語であれば、発音が複雑なら練習して慣れれば問題なくなるでしょうし、情報量が多いのであれば、仕組みをよく理解して慣れれば問題ないと思います。

結局大抵の物事は、慣れることで問題なくなります。慣れるというのは、繰り返し何度もやり続けるということです。具体的に何をしたら良いのかは、苦手な部分を明確にすることで活路が見出せると思います。

この記事がヒントになればと思います。



Photo by Anna Shvets from Pexels

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