映画 Erin Brockovich のハンバーガー屋でのシーンです。
この映画は、大企業が引き起こした公害問題に切り込む裁判を題材とした映画です。主人公の Erin は経済的に追い込まれ、支払いに追われます。しかも子供が3人もいて、世間を口汚く罵りながらも、頑張って生きようとしています。
頑張っている人はつい応援してしまいますよね。そういう女性のサクセスストーリーです。
映画のストーリーもとても面白いですが、暖色の強い映像の感じと音楽がとても良くて僕は何度も観てしまいました。
ここで取り上げるのは、主人公の Erin が子供達を連れてハンバーガー屋で食事を注文しているシーンです。ネイティブはどうやって食事を注文するのかと、Erin の娘の注文がちょっと風変わりで面白いのでよく聞いてみてください。
エリン・ブロコビッチ “Burger shop”シーン
このシーンの前提条件として Erin は仕事が無く、とてもお金に困っています。そういう彼女の経済状況を頭に置いてこのシーンを観てください。
この映画は実話を元に作られたのですが、注文を受けているウエイトレスが実は本物の Erin Brockovich で、このシーンだけのカメオ出演です。
Erin Brockovich – Burger shop scene
スクリプト
Erin: You kids go ahead and order.
Matthew: Ok, I’m gonna have a cheese burger deluxe with a coke
Waitress: Ok.
Katie: Mommy, can I have a cheese burger deluxe with no cheese and no bread?
Erin: Did you get that?
Waitress: Yeah.
Erin: And she will have a cup of chicken broth and a few crackers please.
Waitress: And for you?
Erin: Just a cup of coffee.
Waitress: Ok.
Matthew: Mommy, you are not eating?
Erin: Well, my lawyer took me out to a fancy lunch to celebrate and I’m still stuffed.
解説
注文する時のhave
このシーンでは、料理を注文する時に have を使っています。I’ll have または I’m gonna haveという感じですね。僕も注文する時は have を使います。I’ll have a Ramen without noodle and broth という感じでしょうか。
a few とfewの違い
動画内では、赤ちゃんへの注文で a few crackers という風に使われている few ですが、場合によってはちょっと複雑なニュアンスを作り出す単語なので、書いておきます。
以下の文章はほとんど同じ文章で似たような意味ですが、ニュアンスが異なります。
few の元々の意味は少量の、いくつかの。a を付け加えてa few だと、「少しの人、ものが」ということが強調されて、少しだけどあるんだということが肯定的に語られます。
一方、few だけですと、少量だけであまりないというネガティブなイメージが伴い、少ししかないから、すなわちほとんどないんだよ、という感じになります。
a few, few 両方ともに少しだけあるのですが、少しでもあることに焦点があるのか、それとも少ししかなく、ないことに焦点があるのかの違いです。
この法則は a little, little でも同じです。few は数えられるものに使いますが、little は数えられないものに使います。
brothとsoupの違い
この動画に出てくる chicken broth は、あまり具の入っていないチキン出汁のスープですが、なぜ chicken soup と呼ばないのでしょうか。
日本語でスープと言われるものは、英語だと broth と呼ばれる場合と soup と呼ばれる場合があります。ラーメンのスープを英語で broth と呼んでいるのを聞いたことがある人もいると思いますが、その違いはなんなのでしょう。
一般的に broth は固形のブイヨンなどを水で溶いただけか、または少しの野菜や肉を入れたもので、日本だとマグカップに入ってセットについてくるスープのイメージです。一方、soup は多くの肉や野菜を入れ、それだけでも食事として成立するものです。
どこからが broth でどこからが soup なのかの境界線ですが、この辺はネイティブでも違いが良くわからない場合があります。
例えば具沢山な broth だとスープに近くなりますし、その逆もそうです。
ちなみにラーメンのスープは broth と呼ばれていますが、ラーメン自体は noodle soup というカテゴリーの料理になります。
確かにラーメンのスープだけにフォーカスすれば、それは broth ということになるのでしょうが、どんぶり全体に焦点を当てると、麺や肉や野菜がたくさん入っていますので、soup ということになります。
最後に
女の子の注文がちょっと変わっているのがわかりましたか?
その注文を真顔で受けているウエイトレスというのも面白いですよね。本当に注文通りのものが出てくるのか知りたいところです。
このくらいのクスッと笑えるユーモアはこの映画のトーンと合っていて、アメリカらしく何事もシリアスになりすぎない感じを作っています。
公害問題の裁判映画というとシリアスな内容ですが、笑いがなければ誰にも話は聞いてもらえません。シリアスなものに笑いを入れてくるのはアメリカらしいです。
自分はコーヒーだけで我慢して、子供達には自由に注文させて心配をさせたくない、というのは親なら万国共通です。言葉や文化は違えど、人のコアな部分は全く変わらないということがよくわかります。
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