ビフォア・サンライズ “haunt me the rest of my life” シーン

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動画で英語

Beforeシリーズの三部作、Before Sunrise からのワンシーンです。

この映画は偶然出会った若い男女ふたりが街をほっつき歩きながら会話を交わすだけと言う、とてもシンプルなストーリーなのですが、それ故にとても現実的に思えて、しかもとても魅力的で世界中にカルト的なファンがたくさんいる映画です。

このシーンは Before シリーズ三部作の物語、全てが始まる重要なシーンです。Jesse はアメリカ人らしく、率直にユーモアとロジックを合わせて Celine に語りかけます。

Jesse の勇気、話術、ストーリー、それに Celine の未知の世界に飛び込む勇気が物語を生み出します。

もちろん映画ではあるのですが、この勇気好奇心世界を広げていくんだなぁ、と思い、物語が始まるビッグバンのような気がして、何度も見てしまったシーンです。

ビフォア・サンライズ “haunt me the rest of my life” シーン

列車の中で偶然出会ったふたり。しばらくふたりで会話を交わし徐々にお互い惹かれ合いますが、残念なことに Ethan Hawke 演じる Jesse が列車を降りるウイーン駅に到着しました。

ここでひとり列車を降りてしまえば、Julie Delpy 演じる Celine と再び会う事はまず無いでしょう。そこで Jesse は考えて Celine に再び話しかけます。

BEFORE SUNRISE(1995) – haunt me the rest of my life scene

スクリプト

Jesse: Alright, I have an admittedly insane idea, but if I don’t ask you this, it‘s just, uh, you know, it‘s gonna haunt me the rest of my life.
Céline: What?
Jesse: Um… I want to keep talking to you, you know. I have no idea what your situation is, but, uh, but I feel like we have some kind of uh, connection. Right?
Céline: Yeah, me too.
Jesse: Yeah, right, well, great. So listen, so here’s the deal. This is what we should do. You should get off the train with me here in Vienna, and come check out the town.
Céline: What?
Jesse: Come on. It’ll be fun. Come on.
Céline: What would we do?
Jesse: Umm, I don’t know. All I know is I have to catch an Austrian Airlines flight tomorrow morning at nine-thirty, and I don’t really have enough money for a hotel, so it’s just gonna walk around, and it would be a lot more fun if you came with me. And if I turn out to be some kind of psycho, you know, you just get on the next train.

Jesse: Alright, alright. Think of it like this. Umm-uh, jump ahead, ten, twenty years, okay, and you’re married. Only your marriage doesn’t have that same energy that it used to have, you know. You start to blame your husband. You start to think about all those guys you’ve met in your life, and what MIGHT have happened if you’d picked up with one of them, right? Well, I’m one of those guys. That’s me, you know, so think of this as time travel, from then to now, uh, to find out what you’re missing out on. See, what this really could be is a gigantic favor to both you and your future husband, to find out that you’re not missing out on anything. I’m just as big a loser as he is, totally unmotivated, totally boring, and, uh, you made the right choice, and you’re really happy.

Céline: Let me get my bag.
Jesse: Yeah!

ちょっと英語解説
  • admittedly = まさに、明らかに。admitは「認める」という意味。
  • haunt me = 取り憑かれる。ディズニーランドのhaunted mansion(お化け屋敷)と同じhaunt。お化けに取り憑かれるイメージなので、良くないイメージ。
  • connection = コネクション。繋がること、という意味なので、we have some kind of connectionで何かしらのつながりがある、という意味。簡単に言うと気が合うということ。
  • here’s the deal = dealは同意事項とか取引の内容いう意味で、ビジネスなどで使うことが多いが、この場合、電車を降りた後の「今後の計画」という意味。誰かが何かの提案をした時に Deal! と言えば、提案に同意して「それで行こう!」という意味になる。
  • What would we do? = まだCélineは決断していないので仮定法のwouldを使っている。(降りないけど、もし降りたら)何をするの?そう簡単には降りないわよ、という尻軽ではないことを暗に表している。
  • psycho = someone who is crazy and frightening. 頭おかしくて怖い人
  • it used to have = かつて持っていた。hadとの違いはhadは単に持っていたという意味で、used to haveだと、「ある一定期間持ち続けていた」という意味。
  • you’ve met in your life = have metと現在完了なので生まれてから今までという時間の長さを表現している。
  • what MIGHT have happened if you’d picked up with one of them = もしそのうちの一人を選んでいたら、何が起こっていたのか。
  • think of this as time travel = これをタイムトラベルだとして考える。
  • from then to now = thenは「その時」という意味で過去にも未来にも使える。この場合は過去。From then to nowは「過去から未来へ」の決まり文句。
  • miss out on = on以下を失う。miss out on a chanceでチャンスを失う。you’re not missing out on anythingで「何も失おうとしていない」という意味。
  • gigantic = 巨大な
  • as big a loser as he is = 彼と同じくらいの負け犬。loserは負けた人と言う意味で、勝ち負けにこだわるアメリカ人は相手を罵るときにloserという言葉を頻繁に使う。

解説

女の子を予定外に列車から下ろすには、それ相応の理由が必要です。英語だと

Girls need a good reason.

ということですね。これはしょうがない、こんなこと言われたら降りるしかない、と女の子に思わせなければダメだということです。まぁ、これはナンパの鉄則です(笑)。

Jesse の列車を降りる理由をどう思いましたか?

ちょっと複雑な話なので、これを英語でパッと聞いてすぐに理解出来るというのはなかなか難しいと思いますが、細かく英語を見ていくと、なるほどねぇ、と思わず頷く面白い話です。

仮定法過去完了

ただ一点、

What might have happened if you’d picked up with one of them.

は我々にとってはちょっと文法的に上級かもしれません。

これは仮定法過去完了で過去の話をしていて、しかもそれを疑問文にしています。疑問文を通常の文章に変えてみると、

If you had picked up with one of them, different thing might have happened.

もしそのうちの一人を選んでいたら、違うことが起こっていたかもしれないね。

ということです。different thing の部分を what にして文頭に持ってきたわけです。

こんな感じで仮定法で過去の話は過去完了+would have や、この文章のようにmight haveのような形になります。

ちなみに簡単にもしの意味の if を使った文章をまとめてみると、

ifを使った”もし”の話(直接法)
  • If you go into town, you‘ll notice all the pubs have loud jukeboxes.
  • もし街に入れば、全てのパブに大きな音のジュークボックスがあることに気づくだろうね。(街に入るかもしれないし、入らないかもしれない)
仮定法過去(現在の話)
  • If you went into town, you would notice all the pubs have loud jukeboxes.
  • もし街に入れば、全てのパブに大きな音のジュークボックスがあることに気づくのに。(実際に街には入らないことがわかっている)
仮定法過去完了(過去の話)
  • If you had gone into town, you would have noticed all the pubs have loud jukeboxes.
  • もし街に入っていれば、全てのパブに大きな音のジュークボックスがあることに気づいていたのに。(実際に街には入らなかった)

仮定の話は少々ややこしいですが、現在における仮定は過去形で、過去における仮定は過去完了と覚えるといいと思います。

このような仮定の話とか推量の話は、なかなか会話で自分の口から繰り出すのは難しいです。日々声に出して練習して、会話でも自在に操れたら素晴らしいですね。

最後に

Jesse の言うことが聞き取れないからといってガッカリしないでください。所々が聞き取れて、全体の流れを推測出来ればそれでOKです。

また5年くらいしてからもう一度このシーンを見れば、以前よりももう少し聞き取れるようになっていると思います。そのくらいのつもりで気軽に行きましょう。

ちなみに僕はこのシーンはとても自然な会話に思えて、アドリブが少し入っているのではないかと常々思っていました。二人の俳優の表情がとても自然だったからです。

アメリカでも、アドリブで話しているだけだから撮影は簡単だったに違いないということを言う人もいたくらい。

のちのインタビューを見ると、Before シリーズ三部作は全くアドリブはないそうです。それどころか、セリフとアクションは細部までつめてリハーサルを何度も行っているそうです。それであの自然な演技が出来るって、このふたりの俳優凄すぎ。

Céline 役の Julie Delpy 曰く、完成度を上げるには細部までつめてリハーサルを何度もするしかないと言うことです。自然さを求めてアドリブをしだすと、完成度がガクッと下がり、彼らの求めるものにはならないそうです。

日本の俳優では自然さを求めてあえてアドリブだけで演技する俳優もいるそうですが、それとは真逆のアプローチですね。

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