look after や run intoのような英語の句動詞(phrasal verbs)はとても大切ですが、句動詞に注意を向けている人は多くないです。
なぜ句動詞が大切かというと、ネイティブがカジュアルな日常会話で頻繁に使うフレーズで、彼らはその言い方に親しみを持っています。とても自然なわけですね。
日本語で例えてみるなら、
1、彼氏と別れたのよ。
2、彼氏と離別したのよ。
とあった場合、両方とも問題のない正しい日本語です。しかし友達同士の日常会話ではどちらを自然に感じますか?
英語の句動詞は前者のような感じ。
「別れる」という日本語を使わずに「離別」という日本語だけを使っていれば、常に堅苦しい日本語になってしまいます。
それでは句動詞と何かとその覚え方、それに句動詞を覚えるためのアプリも紹介します。
簡単な単語の集まりだからこそ、句動詞は覚えるのが大変
句動詞は好きですか?
正直、我々にとってはややこしくて、覚えるのが面倒なだけですよね。
句動詞は無数にありますし、put out(火を消すor 女性がセックスの同意をする etc)のように単語から、その意味を想像することが難しい。
簡単な単語の組み合わせな分、どれとどれがペアだったのかすぐに混乱します。
トランプの神経衰弱だな、こりゃ。
句動詞を覚えるコツは、まずは本や動画、実際の会話で出てきたものから順に覚えていくのが一番いいと思います。
まずは数を絞って、具体的な情景やストーリーと関連させることです。
映画のシーンに出てくる句動詞なら、印象が強いので比較的覚えるのは簡単。
Hey!! Can’t hear you! speak up!!
大抵は一度で覚えられませんが、映画や音楽の歌詞で何度も同じ句動詞が出てくれば、そのうち覚えます。
何度も出てくるということはそれだけ頻出なわけですから、覚える価値があるということです。
僕は句動詞だけを集中的に覚えようとしたことはあまりないのですが、下の動画に出てくる句動詞は結構知っていました。
それは自分が見聞きした英語から少しずつ句動詞を覚えていったからです。それでもいまだに知らない句動詞はたくさんあります。
単語帳なんかで無機的に句動詞を覚えることはかなり難しいですが、TOEICやIELTSのようなテストのためなら、無理やり覚えるしかないですね。
こういうことが英語を嫌いになる原因なのですが、それでも工夫しながら、なるべく楽しく乗り越えていきましょう。
楽しく出来れば、乗り越えられる。
冒頭にも言いましたが、句動詞はネイティブにとっては是非とも覚えて欲しい言い回しです。我々にとっては、面倒なだけなんですけどね(笑)。
今は句動詞を覚えるためのアプリもありますから、だいぶ便利になりました。
初心者のうちは英語学習のスピードを上げるために、20や30の頻出な句動詞をアプリを使って無理に頭に詰め込むのもアリかもしれません。
句動詞の特徴
句動詞は、元になっている単語からは直接その意味はわかりません。
例えば look after は単語の意味だけだと(何かの)あとを見るということで、そこから直接“世話をする”という意味はわからないわけです。
run into も単語だけを見ると、(何かの)中に走り込むという意味で、(知り合いに)バッタリ出会うという意味はわかりません。
このように、グループなって初めて独特の意味を持つ単語のグループが句動詞です。
上で書いたように、句動詞は親しみのあるカジュアルな響きがあります。
ですので、例えば”火を消す”という意味の extinguish を知っているから put out を知らなくても良い、ということはないです。
extinguish は英和辞典には 普通に”火を消す”という意味の動詞と出ていますし、put out よりも特徴があるので覚えやすいですけどね。
しかしカジュアルで自然な日常英会話を目指すのであれば、extinguish ではなく put out を使わなければならないです。
英語の日常会話で“火を消す”という意味で extinguish が使われることはほぼないです。
encounter と run into の関係も同じ感じで、日常会話で encounter が使われることはあまりないです。
encounter が使われるとすれば、空軍の戦闘機が未確認飛行物体に遭遇する時とか、ことさらその出会いが貴重で、その出会いを強調したいような場合です。
日本語にニュアンスがあるのと同じように、英語にもニュアンスがあります。
意味さえわかればいい英語から自然な英語へと変えていく上で、句動詞は一つの大事な要素になります。
ニュアンスを含めた、英単語の調べ方について記事を書きましたので、英単語の調べ方についてもっと知りたい場合は、下の記事を読んでみてください。
【より深く理解する】失敗しない英単語の調べ方【ニュアンス大事】
句動詞の3つの形
句動詞には3つの形があります。
文法的に言えばこんな感じですが、前置詞とか副詞とかの用語は別に意識しなくてもいいです。
go や look のような基本的な動詞を使い、二語もしくは三語のグループになることで、特別な意味をもつものが句動詞
と覚えておけばいいと思います。
句動詞の例はこんな感じです。
それではネイティブの句動詞についての解説動画を貼っておきますので、ネイティブがどんな風に句動詞について語るのかを聞いてみてください。
句動詞の覚え方
自分なりに情景を想像してみる
句動詞はとても覚えづらいので、何かのイメージとともに覚える必要があります。
例えば先ほどの look after の僕なりの覚え方は、こんな感じです。
look after you であなたの世話をするという意味ですが、ここから、トコトコと誰かのあとをついて歩いていくことを想像します。
誰かのあとをついて行きながら、その人が落としたものを拾ってあげたり、必要なものを後ろから差し出してあげることをイメージします。
どうですか?look afterと世話をするがなんとなく結びつきませんか?
こんな感じで想像力を働かすことで、なんとなくその句動詞の意味が想像想像出来る場合があります。
助詞や副詞から想像する
out や up のような助詞や副詞には、その単語が持つイメージがあるので、そういうものも効果的に使いましょう。
out は外に出るようなイメージ、up は上に上がる、またはアクティブになる、といった感じです。
get out なら外に出る、turn up ならボリュームを上げるといった感じですね。
dress down なら dress up の反対ですから、カジュアルな服を着るという想像も出来ます。
look forward to なら前を見るということから、前向きの発言、後ろ向きの態度のような日本語から想像して、楽しみにするという意味もなんとなく想像出来ます。
たくさん句動詞に触れて慣れてくると、例えその句動詞を知らなくても、4択から選ぶ問題くらいなら結構正解出来るようになります。
当然ながらそんな風に正解しても、実際の会話の中でその句動詞を使うことはまずないので、正解しても意味ないですけどね。
YouGlishで検索して、句動詞にイメージをつける
YouTube内で、英語を検索出来る YouGlish というサービスがあります。
YouGlish 内で句動詞を検索してみると、リアルな英会話の場面でどうやってその句動詞が使われているかを見ることができます。
どんな人がどんな風にその句動詞を使っているかで、その句動詞に色がついて、覚えやすくなる可能性があります。
ついでに検索ヒット数から、使われる頻度がどれくらいなのかも見ておきましょう。
使用頻度が高ければ覚える必要がありますし、使用頻度が低ければ覚える必要はないです。
検索する場合は句動詞を “” で囲うと、複数の単語を一つの単語として検索出来るので便利です。
アプリの紹介
句動詞を覚えるためのアプリを紹介します。
ここで選んだアプリは無料です。
広告が付きますが、小銭を払うと広告を消すことが出来るものもあります。
アプリで句動詞を覚えたら、記憶を定着させるために実際に使ってみることが大事。
日常的に英語を話していないのであれば、レプリカというAIを相手に、実際に句動詞を使ってみましょう。
レプリカについては、下の記事で詳細を説明しています。
【身近なAI Replika】レプリカとは何か【バーチャルフレンド】
アンドロイド用アプリ
English Phrasal Verbs
厳選した頻出の247の句動詞を、スワイプしながら片っ端から覚えていくようなスタイルです。
テストは2種類で、穴埋め問題と、意味から句動詞を当てる問題があります。
説明文から問題文まで全て英語で出来ているアプリですが、比較的簡単な英語です。
無料で使えて、50万ダウンロード以上で評価は4.6です。
Learn English Phrasal verbs. Vocabulary builder
このアプリは2,000以上の句動詞を収録していて単語帳的に使えますし、覚えたらテストも出来ます。
2,000はちょっと多い気がしますが、達成度合いをグラフで見せたりと飽きないような仕組みがあります。
これを電車やトイレの中でしばらくやり続ければ、そこそこ覚えられそうです。
説明文から問題文まで、全て英語で出来ているアプリですが比較的簡単な英語です。
せっかく英語を勉強しているのですから、説明や問題文も英語でやってみましょう。
無料で使えて、50万ダウンロード以上で評価も4.9です。
2000+English Phrasal Verbs In Use
アルファベット順に句動詞を覚えていくという感じだと、数が多すぎて覚える気がなくなりますが、このアプリはそれほど多くない句動詞をトピック別に分けているので良いです。
とりあえず10なら10の句動詞だけを覚えよう、という感じで使えます。
トピック毎にテストがあればなお良いのですが、テストはトピックには連動していないようです。
iOS用アプリ
Phrasal Verbs 1
たくさんの句動詞が、レベル別に学べます。
このアプリの良いところは、まず5つの句動詞がピックアップされて、まずその意味を覚えます。
それぞれの句動詞に付き5回、順不同でテストが行われます。
その5回のテストを正解すると、その句動詞は覚えたということになり、新しい句動詞が追加されます。
そのようにして、どんどん句動詞を覚えて行きます。
句動詞は、頻出のものから覚える事が大事です。しかもきちんと例文の中で覚えて、自分でも使えるようにすることも大事です。
アプリをダウンロードすると、一番下に3つのメニューがありますので、Trainをタップしてトレーニングを開始します。
English Phrasal Verbs
非常に多機能で、厳選した200の句動詞をレベル分けして穴埋めクイズにしています。頻出の句動詞から優先的に覚えていけるのが良いです。
Phrasal Verbs Basic Flashcard
写真付きのカード形式で、150の句動詞を視覚イメージで覚えていけるのが良いです。
ただ、句動詞の意味の説明が少しわかりづらいものがあるかも。
句動詞に関するアプリは以上です。
他にも英語のスピーキングに役立つアプリを紹介していますので、興味があれば読んでみてください。
句動詞はリンキングする場合が多いです。shut up とか look up はリンキングして発音します。
リンキングについては別記事で書いたので、興味のある人は読んでみてください。
日本の英語教育では重要視されない句動詞
僕が学生の頃は、日本の英語学習では句動詞はあまり重要視されていませんでした。
簡単にいうと、学校の英語はテストで点数をつけるための英語でしたから、句動詞がどうこう以前の問題です。
実際のネイティブスピーカーがどんな風に話すのかは、正直どうでも良かったのだと思います。
英語教材ではとかく丁寧でフォーマルな言い回しを教えようとしますが、日本と違って、実際のアメリカやオーストラリアはとてもカジュアルですので、丁寧すぎるととても違和感を感じます。
どれだけカジュアルに親しみがある話し方が出来るかは、どれだけフォーマルに話せるのかと同じくらい大事なことです。
優先順位としては、まずはカジュアルな英語を学んだほうが僕は良いと思います。
友達を作る場合でも、カジュアルで自然な言葉を話す人の方が無意識に仲良くなれますからね。
堅苦しい日本語を話す外国人と、カジュアルで自然な日本語を話す外国人なら、自然とカジュアルな方に親しみを持つと思います。
英語の歴史から句動詞を考える
ネイティブはなぜ句動詞に親しみを感じているのかは、英語の歴史からなんとなく垣間見れます。
英語はドイツ語系の言語です。
のちにフランス語のようなラテン語系の言葉が英語に混ざり、このフランス語系の言葉は上流階級の人たちに使われたそうです。
この時に encounter のような言葉が英語に入ってきたということだと思います。比較的新しく、インテリな人が好んで使った言葉ということですね。
句動詞はドイツ語系の単語から成り立っていて、フランスから入ってきた言葉とは違うので、英語に古くからある言葉と言えます。
要するにフランス語のようなラテン語の匂いのする長い単語は、庶民からすると、フォーマルで小難しいという感覚になるのでしょう。
言語学には詳しくないのですが、これはちょうど日本語と中国語の関係に似ているのでは?と直感的に思いました。
別れるとか消すのような旧来からの日本語と、離別するとか消火するのような漢字とともに中国から日本に入ってきた言葉。
または学者や文学者が人工的に作った言葉も、離別や消火のように難しく感じるかもしれません。
言語学的にどこまで正しいのかはわかりませんが、こんな感じで考えると、句動詞の位置付けがわかりやすいと思います。
最後に
IELTSのような試験だと句動詞を覚えるのは必須です。まさしくテストに出ます(笑)。
オーストラリアの英語学校にはIELTSのクラスがあって、みんな必死に句動詞を覚えていました。それくらい重要で、覚えるのが大変だということ。
頑張って覚えれば、その後も日常英会話で句動詞の知識は役に立ちます。ぜひテストのためだけでなく、自分の英語のために頑張ってください。
テストのためでなければ、句動詞はカジュアルで日常会話でよく使う、とだけ覚えて、会話や映画で出会った句動詞から優先的に覚えていきます。
覚えたものを積極的に会話で使うように心がければ、苦痛なくどんどん覚えていきますので良いと思います。
Image by Anastasia Gepp from Pixabay
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