この映画は、大企業が引き起こした公害問題に切り込む裁判を題材とした映画です。弁護士事務所のアルバイト従業員である Erin Brockovich がその献身的な働きから弁護団に加わり、裁判において重要な役柄を果たします。
今回のシーンは、主人公の Erin がバイカーの George と出会うシーンです。
George はこの後 Erin の私生活を支える重要な役を果たす事になるのですが、この出会いのシーンはちょっと日本ではあり得ないシーンです。
Erin はバイクの音がうるさいと George に苦情を言うのですが、全くめげない George は Erin にアプローチまで仕掛けます。
その George のアプローチを断るために Erin は電話番号の number から連想して、いかに自分の状況が女として魅力がないのかを George に説明します。
僕はこのめげない George が好きで、このシーンを何度も観てしまいました。単純にこのふたりの役者は魅力的で、とても魅力的なシーンです。
エリン・ブロコビッチ”numbers” シーン
動画をページに埋め込み出来ないのでリンクを貼っておきます。動画の始めから2:10くらいまでのスクリプトを下に書いておきましたので、何度か動画を観た後に答え合わせとして見る事をお勧めします。
Erin Brockovich – “numbers” scene
スクリプト
Erin: Hey! Hey!
George: Hello.
Erin: What are you doing, making all that goddamn noise?
George: Well, I don’t know, we’re just introducing ourselves to the neighbors, I guess.
Erin: Well, I’m the neighbors. There, now we’re introduced, so shut the fuck up.
George: Ooh, hey, hey, wait, hold on there. Let’s start over, ok? My name’s George. What’s yours?
Erin: Just think of me as the person next door who likes it quiet.
George: Hey, come on. Don’t be like that. We live next door to each other. I feel bad, I feel terrible. I’m sorry. Will you accept my apology? I mean we’re living right next door to each other. If you need a cup of sugar or some cream.
Erin: I don’t need sugar.
George: You don’t need sugar. Why don’t I take you out to dinner to apologize for my rudeness, huh? You gimme your number, I already got your address so you can’t get away huh, and I’ll call you up proper and I’ll ask you out and everything.
Erin: You want my number?
George: I do. I do want your number.
Erin: Which number do you want, George?
George: I like the way you say that George. uh, well how many numbers you got?
Erin: Oh, I got numbers coming out of my ears, for instance, ten.
George: Ten?
Erin: Yeah, That’s how many months old my little girl is.
George: You got a little girl?
Erin: Yeah. Yeah, Sexy, huh? how about this number, six. That’s how old my other daughter is. Eight is the age of my son. Two is how many times I’ve been married and divorced. 16 is the number of dollars I have in my bank account. 850-3943. That’s my phone number. And with all the other numbers I gave you, I’m guessing zero is the number of times you’re gonna call it.
George: How the hell you remember your bank right off the top of your head like that. See, that impresses me. Dead wrong that zero thing, maybe.
解説
カジュアルで気軽な感じの句動詞(phrasal verb)
このシーンに出てくる shut up, hold on, start over, take someone out, call someone up, ask someone out は句動詞と呼ばれています。このシーンのようにカジュアルな日常会話では句動詞がたくさん出てきます。
文法的に句動詞を説明すると、下記の形をしているものを言います。
動詞+前置詞 or 副詞 または両方
簡単にいうと動詞に up, over, out のようなものがついた形で、合わさって一つの塊になることで、それぞれの単語の意味とは別の意味を持つものです。
例えば句動詞の put out には火を消すという意味がありますが、火を消すという意味は put にも out にもありません。put out と二つの単語が合体することで火を消すという意味が生まれます。
それでは同じ火を消すの extinguish とどう違うかというと、put out はカジュアルで日常的によく使う言葉ですが、extinguish はもう少しフォーマルで put out に比べると使う頻度は低いです。
日本語に例えてみると、ちょうど「火を消す」と「消火」の関係に近いのかなと思います。当然「火を消す」の方がカジュアルで「消火」は少しフォーマルで硬い感じがしますよね。
句動詞はよりカジュアルで自然な感じがしますので、句動詞をどのくらい覚えているかで、どのくらい自然な会話が出来るかを測れるくらいです。意識してなるべくたくさん覚えましょう。
長くなるので、句動詞についてはまた別の機会に書いてみようと思います。
最後に
このシーンを観て思い出したのが、僕がオーストラリアのブリスベンにしばらく住んでいた時に、毎朝まだ夜明け前の朝5時頃に隣の家のハーレーがエンジンをかけてしばらく暖気運転していたことです。
僕もバイクに乗るのでバイクには結構詳しいのですが、マフラーも交換されていてかなりの爆音でした。まだ夜明け前の住宅街でそれをやる度胸は僕にはないです。日本人の僕にしてみればまさに常識外れの何物でもなかったです。
まるで漫画のように「バルゥーン!ドッドッドッドッ」と毎朝5時に起こされていましたが、ライダー本人は全く気にしてなかったと思います。
ですので、このシーンのように近所迷惑を全く考えない人というのは実際にいます。気にはしているけど無視するのではなく、最初から気にならないわけです。
このシーンの鍵は your number です。映画の舞台は1993年くらいなので、ちょうど携帯電話が徐々に普及し始めたくらい。インターネットもまだ一部の人がPCを使って接続していた時代です。ですので、女性と連絡を取るのは家の電話だった最後の時代くらいだと思います。
この頃は誰でも自分の家の電話番号は覚えていましたし、友人などの頻繁に電話する番号も記憶していました。
ですので、Erin が言っていた番号については、George がいうほど印象的でもないと思うのですが、George はなんとか印象を良くしようと頑張っていたのだと思います。
言葉だけ拾うと Erin の物言いはかなり強烈ですが、全くめげない George を冷静に眺めてみると、もし彼があれほど爽やかでなく、もう少し陰湿で危なさがあれば、サイコパスでストーカー的な気持ち悪さがあります。
サイコパス的で気持ち悪いか、それとも誘われて嬉しいかの境目は、男がセクシーかどうかにかかっていると思います。全ての男が超絶セクシーならサイコパスでストーカー的でも結構面白い話として語られるでしょう。要するに女性が気持ち悪いと思うか、嬉しいと思うかですね。
ビクビクしないで好きな人に猛烈にアタックするという、人の野生の部分が生き残っているというのはなんとなく見ていて楽しいです。しかも結果に必要以上にガッカリせずに、地面に倒れ込んで最後に笑いに落とし込んでいるのも見ていて気分がいい。
最近は人と話すのも気を使うばかりで疲れますし、ちょっとした一言で相手を怒らせたり傷つけることも多いですから、野性的でめちゃくちゃながらも最後にはなんとなく上手く行く、というのは観ていて気分いいですし、こうであって欲しいとも思います。
ここに出てくる英語は日常会話に良く出てくるものばかりです。やはりこういうところから英語を拾って覚えた方が、本当にこうやって英語を話すんだ、と説得力がありますし、すぐに実戦で使えるものばかりですから効率も良いですね。
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